○今回のポイント 1 狭い空間は可動間仕切りを活用して「可変住空間」
○今回のポイント 2 壁を収納にすることで更に利便性を高める
この連休にあまりにも物が多く狭苦しい住まいをどうするか?都市の家での暮らし方を考えた人は多いと思います。改めて物を思い切って処分する勇断をし、さらに立体的に物を積み上げる収納を考え、その計画をされたことでしょう。
しかし、もしそのことを実行するなら、その前にすべての壁を取っ払い無くしてみることまで考えてみたらどうでしょう。もちろん家の構造によっては二階や屋根を支えている壁や柱もあります。特に壁は「耐震壁」として家の揺れを防いだり持たせる重要な役目もあります。特に木造などでは壁の中に筋交いなどもあり、下手に壊すと重大な問題も起こります。2×4(ツーバイフオーやパネル工法などのむやみに壁を動かせない家もあります。さらにマンションなどの集合住宅の場合は柱だけではなく各階を繋ぐ配管や配線もあり勝手に壊すことはできませんが、これらも管理人や、専門家と相談すれば内装の間仕切りなどのほとんどは取り外せます。
<可動間仕切りの例(画:天野彰)>
<開閉間仕切りで空間の縮小拡大例(設計:天野彰)>
こうして壁、すなわち間仕切りを外してみるとびっくりするほど広々とするものです。なるほどワンルームは同じ面積の2LDKに比べ驚くほど広く感じます。しかしこれではプライバシーが保てません。生活行動や家族の要望によっては目隠ししたり囲ったりする必要もあります。
この“愉しい家”の冒頭でもお話ししたように、まずは個室化した子ども部屋の壁を取り去り、最小限にコンパクトにし、そこをカーテンやガラス戸で仕切る提案をしました。子ども部屋がまるでリビングにむき出しになるような感じもしますが・・・、実際はカーテンで視界や光線を遮断し、さらにガラス戸をきっちり閉めると音や空気も遮断できます。子どもが通学や遊びに出かけている間などは開放すると家中に風も通り、子ども部屋の前のベランダから光も景色も入り明るく広々とします。何よりも今まで狭かった皆の団らんの間のリビングが広々とするのです。
これこそが私が提唱する、動く“壁”すなわち可動間仕切りなのです。この開閉によって間仕切りは生活や気分によって自在に可変できるのです。実際子どもはコンパクトになった部屋がまるで飛行機の操縦席?だと愉しく勉強にも集中できると言うのです。しかも当初きっちり閉めていたこの引き戸やカーテンも次第に閉めないようになり、寝る時以外は開放して勉強するようにもなると言うのです。これは受験時や将来の職場でも手元に集中することができてとてもいいことだとも言われるのです。何より家族が常に一緒に居る時間が増えるのです。
こうして壁が“動く”ことによって同じ住まいが何通りもの間取りになるのです。コンパクトな子ども部屋のように空間が広くなったり、閉じられたり、まさに「可変住空間」となるのです。これこそわが国の伝統的な空間の設計手法であるユニバーサルスペースなのです。
そこでこの際、さらにもう一頑張り、前回のお話の床から天井までの立体収納を間仕切りの壁兼用にするのです。つまりその収納にコロ、戸車のようなキャスターを付けて可動にするなどです。なんと、その扉自体に物も収まり、さらに可変の大きな空間までも得られるのです。
<動く収納家具でLDKがL+DKとなる(画:天野彰)>
もっともこれは固定の立体収納であり、一部動くだけでも効果的なのです。で次回は「物と壁が動く“生活維持装置”なる収納ロボット?」です。
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