2Sハウス(3)地震災害に勝つ家とはハードだけか?
―安心の家は家族にとっても自分自身にも大切なことです。―
しかし住まいを耐震や強度のことばかりを考えることは、即地震がセルフディフェンスのことでしょうか?
○今回のポイント 1 家の強度も大事だが、その家を建てるそもそもの地盤にも注目する
○今回のポイント 2 日頃から安全な逃げ道を確保し「減災」を意識する
最近震度7が何回来ようともこんなに耐えられる家とか免震ゴムで浮かせ、ダンパーによって揺れを抑え制震させる家などが持てはやされているようです。が、家の強度や耐久性、部材の一つ一つにばかり関心が行って、肝心の家づくりの在り方や住まい方さらにはその経年化その時の有効な避難方法などがおざなりになってしまいます。
確かに家の強度も重要ですが、その家が建つ場所や地域さらには地盤などが重要です。地域の地形や付近の川や海、さらには山のありようなどが重要で、最近多く発生する突然の土砂崩れや土石流、さらには地盤ごと流される山崩れ、地震によっては地盤沈下や液状化、そしてあの恐ろしい沿岸地震の津波や河川への遡上による氾濫も起こります。
特に最近とみに多い温暖化による異常気象による集中豪雨や線状豪雨など、どこにいても突然河川の決壊や氾濫など起こります。また密集した地区では火災の発生や延焼も心配です。
<イラスト1:地形によって家の揺れ方壊れ方が変わる(画:天野彰)>
そこで改めて今の家の周辺を見直しその家の場所が高台であるかあるいは谷場なのか付近に危険そうな川や海などがあるか?ハザードマップなどで調べ、近所の古い不動産屋さんでどのような地盤の土地であったかなどを探ります。そうしてその危険度を知ってすべてに対処する前に、まずはいざと云う時に逃げやすいように非常持ち出しをまとめ、逃げ道を塞がれないように家具などの配置を直し、さらにバールや懐中電灯などを随所に置くなどの工夫が必要です。防災のコラムでもお話しましたが真の防災とは堅固な街づくりよりもまずは安全に避難できるルートをいくつか確保し、さらに家族全員で通信情報を持つことです。
災害は明日来るかも知れません。まずは何よりも「減災」を考えることが重要で、ハードよりもこうしたソフトウエアこそが重要ではないでしょうか。その上でちょっとしたつっかい棒や方杖などの補強で家を救い、あるいは避難の支障にならずに安全に逃げ切れた例は多いのです。
これこそが真の命を守るセルフディフェンスすなわち減災思考ではないのでしょうか。
<イラスト2:阪神淡路地震例 古い家を古電柱二、三本で助かった家(画:天野彰)>
<イラスト3:リフォームの際に外部から通し柱で補強する(画:天野彰)>
次回は「老いて自立できる家とは?」です。
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