○今回のポイント 1 家づくりは「街づくり」や「人づくり」に繋がる
○今回のポイント 2 周辺環境をしっかり把握すること
○今回のポイント 3 家族の居場所を考える「場取り」からプランを考える
前回までの土地候補探し、さらには好みの設計者選びによって、土地の選定が行え、契約も安心して行えます。
そしていよいよ家のプランのイメージが見えてきます。
購入した土地へ宿泊し周辺環境を確認した情報を基にプランへ落とし込む
次は、その購入した土地にテントを張って家族で一緒に泊まって“観る”のです。冬場はなかなか大変なことですが、車を停めてできるだけ朝な夕なの情景を探るのです。この際には近隣に簡単な手土産を持って挨拶をするのです。不審者に思われないことはもとよりその敷地の周りに住む人々の様子が分かります。
これこそが本来の家づくりでのコミュニティの始まりなのですが、最近の家づくりは残念ながら施工業者任せにすることが多いのです。もちろん解体新築や大幅なリフォームの際もこうした近隣との付き合いこそがその後も一層住みやすくなり、工事もスムースに進むのです。
こうして得た情報をくまなく設計者に伝え新しい住まいに反映するのです。今まで住んでいる人も窓を大きく開けて風の流れや陽の入り様や、さらには鉄道や道路の騒音、あるいは前面道路の車の通りや人通りなどを含め家の配置や景観なども街に違和感なく溶け込んで行くことになるのです。
野中の一軒家ならともかくまさしく家づくりは街づくり人づくりでもあるのです。
さてこれで何となく家の周りの様子やわが家の概要が見えてくるのですが…、すぐにグラフ用紙に間取りを嵌め込むなどはせず、どこでどう暮らすかを考えるのです。そう、まさしく家族の居場所を考えるのです。食べるところ、居るところ、寝るところの場を考えるのです。
それらの“場”を敷地の中に○で画くのです。私はそれを「間取り」ではなく「場取り」と言うのです。
<イラスト1:家族間取りゲーム(画:天野彰)>
そのやり方は簡単です。リビングやダイニングさらには寝室や和室などをそれぞれをその代償の円を造ってそれを敷地に想定した画用紙の上に並べて行くのです。家族でわいわいがやがやとゲーム感覚で並べて行くのです。まさしくこれを「場取りゲーム」と称しているのです。
ここで気に入った何枚かの配置を糊で止め、設計者にそのまま渡すのです。このとき玄関や階段さらにはトイレなどは気にせず設計者に任せるのです。これで清書された、いくつかの“場取りプラン”を観ながらまた家族と設計者とで喧々諤々とやればいいのです。
<イラスト2:場取りからできたプラン(画:天野彰)>
そう、場取りはどこでどう住むか?家族で楽しくやらなければいけません。方眼紙に部屋を詰め込みトイレが入らないとか階段が難しいなどは専門家に任せればいいのです。
次回は「家相は気になるではなく気にさせられる?」です。
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人生100年時代、50代は折り返し点です。長年日本人の住まいを見つめてきた建築家親子が、これからの人生をどう暮らすかをテーマに快適なリフォーム術をアドバイス!実際に手がけた最新事例を基に、写真とイラストでわかりやすく全47の手法を提案します。本当は家のことを 50 代で考えるなどとは遅いのではないか、と思います。 30 代、 40 代で家を建てた人は、その時に 80 年、 90 年という自分自身の人生時計を連想しながら家をつくっていれば、50代で慌てることはないのです。また、今日のように社会問題になっている「空き家」にもならないのです。単なるハウツーにとどまらず、実際設計した住まいの中にイラストにて生活を描き、これからの住む人の人生を考え、いかに活き活き生きていくかを考える本にしています。50代はもちろんですが、同時に若い世代あるいは高齢世代にも自分たちのこととして考えていただく本です。
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