有効な家づくり(1)都市は拡大しそして空洞化する?
―有効なリフォームや家づくりとは街興しで街づくりです?!―
○今回のポイント 1 過疎化する都心部では、より家を小さくして売るミニ開発
○今回のポイント 2 若い世代を都心に呼び戻すために、同居スタイルと賃貸の両軸
今住まいづくりに異変が起こっています。大げさのようですが・・・、全国で空き家が増え続け500万軒とも800万軒とも言われているのです。さらに近い将来、空き家となりそうな予備軍の家を加えると優に1千万軒以上もの空き家になると言うのです。しかもこれらの家はどの町も都心近くの家が多く、まさに都市の空洞化が始まっているのです。
<古い町並みはどんどん小さな家のミニ開発で “密集”する?(写真:天野彰)>
都心は高齢化により過疎化が進みドーナツ現象が起きている
そしてこうした地価の高い都心の家屋敷は今、次々とデベロッパーによって買われ、僅か30坪弱の土地に分割されぎりぎり三階建の小さな家が密集するミニ開発がされているのです。過疎化する都心の高級住宅地だけに、さすがに土地が高く億以上の建て売りは売れず、かと言って億近い家は車庫もなく3LKD以下の家も売れないのです。そこでさらに家は最小化され、ミニ開発は進むのです。
さらに高層住宅が可能な臨海部や都市周辺には40階ほどのタワーマンションが突如建ち、判で押したような2DKや3Kほどの高額なマンションに若い家族が移り住んで行くのです。
皮肉なことにかつて都心に広大な住宅地が広がり、その周辺に若い人たちが追いやられて、郊外にニュータウンやマンションが多くつくられ、まさしく都市のドーナッツ現象などと言う時代がありました。そして働き手の彼らが郊外に追いやられ、毎日通勤地獄のような不経済で不効率な都市が形成されたのです。
今まさにその都心の人たちが高齢化し、家族が育ち核家族化が進み、さらに、独居老人世帯や、ついには空き家となり、住宅地は歯抜けのような状態となり都市の空洞化?いやもっと、過疎化が進みまさしく本当のドーナツ現象が起きているのです。
<延々と低層住宅真ん中に国立競技場 渋谷セルリアンタワーより(写真:天野彰)>
今こそ都市のこうした不効率を各区部や行政が手を差し伸べ、税制や融資などの新たな優遇措置を講じ、早くに空き家にならないような工夫をするなどが重要で、そこに今住む家族もあらゆる手段を講じて、早くに今後の生活設計をし、今の家の有効利用を考えたいものです。v
このことは、単純な計算をしても、都心の家全体がそれぞれ1戸か2戸の貸家にし、ミニ開発ではなく同居スタイルの家にリフォームすれば割安な家賃で若い世帯が都心に移り住み、庭付きの一戸建てに住めば、倍以上の世帯数の街となるのです。これこそ建て替えに比べ割安となり、家主にとっても老いの生活の糧ともなるのです。
慌てて売り払ったり、建て替えにせずとも、今の家そのままで有効な都市の活性化となり、さらには高齢化社会の一助ともなりうるのです。
人に任せるのではなく自らが立案計画をするのです。出て行った子世帯もその貸家に移り住むこともあるかも知れません。次回からはこうした新たな同居スタイルについてお話をすすめて行きたいと思います。
<賃貸併用はいやだが・・・と言っておれないアパート併用住宅(イラスト:天野彰)>
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