○今回のポイント 1 適度な距離感を保つ「L+DK」プランで狭さを楽しむ工夫
○今回のポイント 2 家族の交流を忘れずに、両面を使える家具で仕切る
マンションなどの狭いLDKとは実は名ばかりで実際は大きな“K”なのです。キッチンで調理をすると、そのまま煙や匂いが充満し音が部屋中に響き、全体がKになってしまうからです。奥さんも家族や夫に気づかって調理をするのは楽しくありません。
LDKをLとDKに分けることで夫婦の時間が保たれる
ではただでさえ狭いLDKを夫婦のためにどう分けるのでしょうか?
一般的にはKだけを分けてLDとK、すなわちリビングダイニングにすることが多いのですが・・・、今度はKが閉鎖的となり、主婦が孤立してしまうのです。
そこであえてLとDKとに分けるのです。これで憩う時も食事の時も家族や夫婦が常に一緒に居るようになるのです。これで食べる時も居間に居る時も夫婦、親子に一体感が生まれ、しかも作業中は落ち着く事ができるのです。
しかし分けると言っても、しょせん狭いLDKをいったいどう分けるかですが・・・、LDKの真ん中に大きなハッチ式家具をでんと置いて仕切るのです。これを“装置壁”と言い、私が例える生命維持装置、ならぬ“生活”維持装置とするのです。
この天井までのハッチが台所側では主婦のすべての収納となり、狭いながらも妻の空間とすることができるのです。そのDK側には食卓を置きます。すると食事の時は夫はもとより家族も“妻の空間”に集まってくるのです。
<お馴染み「生活維持装置」ならぬ両面ハッチ家具(画:天野彰)>
その反対にL側はまさしくリビングで、同時に夫の書斎や仕事部屋となるのです。図のようなハッチに仕込まれた戸を手前に開いてそれがデスクとすれば。まさしく造り付けのライティングビューロウとなり、普段はパソコンや危険な塗料や道具が納められ、プラモデルづくりなどの遊びの場となるのです。これがのちに「オヤジデスク」としてわが設計の家のどこかの壁の中から登場するのです。
<リビングの初代ハッチ式装置壁と現代の「オヤジデスク」(設計:天野彰)>
狭さを楽しむため、家具としてだけではなく設備も盛り込む仕切り
このハッチにオ-ディオやTVなども組み込み、リビング装置にするのです。これこそが狭苦しいではなく「狭“楽”しく」住むことです。これが今でも私の住まいの発想なっているのです。
このLD+Kはリフォームの際には大きな引き戸にして開閉可能にする“可動間仕切り”も有効です。もっと簡単にはアコーデオンカーテン、いや厚手のカーテンでも可能なのです。
次回は「子育てではなく“夫婦”育て」?です。
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★次回お楽しみに♪
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