「家相」はあるか?(3)「家相」によって私も変わった?
○今回のポイント 1 家相は平均値で見れば、気軽に取り込める
○今回のポイント 2 家相は人の考え方によって変わる
家づくりは確かに難しいものです。使いやすい間取りはもちろんのことその予算、さらには構造や建築法規などとチェックをしなければならないことが多いのです。が、それに加えて・・・、
夢のマイホームづくりと思いきや最終の図面になって両親から待ったがかかったり、友人から家相が悪いのでは?などと指摘されたりすると、たちまち夢のプランが崩れそうになるのです。特に頼りの両親に至っては、こんな危ない?家に資金は援助できない!などと“経済封鎖”が起こったりすることもあるのです。
家づくりでは、第三者による家相の指摘も考えられる
ここで、私の実例をご紹介しましょう。
私の父の家の設計をしたときのことです。完成後しばらくして父が胃腸の異常を訴え、胃潰瘍(いかいよう)の手術をすることとなりました。
そんな折、父の知人の家相家から「寝室の床下を通るトイレの排水管が悪いのでは?」などと指摘されたのです。
もともと家相を考慮、トイレの位置や台所、さらには浴室などの水回りの配置には心がけていたのですが・・・、「床下の排水管が悪い」と指摘されたのにはさすがに驚きました。特にその方向が父の寝ているお腹のあたりを横切っているからだと言うのです。これにはただただ驚きでした。排水方向の都合上トイレから下がって床下で切り回しをしていたのですが、ここまで指摘されるとは想像すらしていませんでした。
トイレに関しては、現代の家相家の意見は、昔のくみ取り式ではないので、水洗のトイレ本体を清潔にしておけばあまり大きな障りがなく、その反対に浄化槽の位置や汚水マスの方が障りが大きいとも言います。くみ取りではない現代のトイレでは湿気や臭気の関係から言えば、なるほど一理あるようで、家相学も時代の変化に対応しているようです。
家相を取り入れやすくするために、平均値かした【天野式家相】
そこで、全国の有名な家相家を訪ね、所定の見料を払って、同じプランの家相の良否を“診て”もらったのです。すると、地域の特性や気候などによって多少は変わるものの、絶対的に「凶」とされる障りは伝統的に統一されていて、同じ台所でも流しの位置はよくてもコンロの裸火がだめ、などと結果は多岐にわたりました。
特に玄関の位置も鬼門でも出入りのドアが当たっていなければよいと言う見解にはプランづくりで随分救われたものです。全方位の部屋や設備、さらに「欠け」と「張り」の吉凶を表したものは 前回紹介した「家相盤」と呼ばれ、各派の秘伝とされているものです。全国の10人近い家相家のチェックプランから平均値を統合し、「天野式家相盤」(イラスト)なるものを編み出したのです。
全国の10人近い家相家のチェックプランから平均値を統合した「天野式家相盤」(画:天野彰)
各部屋と設備、欠け張りの方位の吉凶は白から黒までの濃淡で表し、おおむね図の通りです。肝心の中心の出し方は、
(1)大きなおおむねの平均の長方形の対角線の交点
(2)プランを厚紙に張ってそれを切り取って、えんぴつなどの先で重さの中心を探る
(3)主人(あるじ)が寝る部屋を決めてそこを中心とする
と言う3通りほどがあるようです。この中心によって家相盤は動いて、吉凶は大きくずれることになります。詳しくは私が著した「建築家が考える良い家相の住まい」(講談社)などを参考になさってください。
こうした家相の吉凶の結果は、自分自身の考え方や思い方によっても大きく変わるのです。しかも、これに本人や家族の年回りなど八卦(はっけ)を 重ねること多いのです。私は複雑にしないために、(1)の平均値化した長方形の対角線で中心を探ることにしています。
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