「働きに出たいが、子どもが心配」
「離れて暮らす親が心配」で親は「子夫婦が心配」さらには・・・「親子で一緒に住む方がなにかと都合がよく安上がり…?」で、同居や二世帯住宅を選択してしまう人が多いのです。
このコロナ禍のような事態に、互いが離れて住んでいることの不安や子夫婦が共働きで子どもの成長に伴って保育に預けるも大変、さらに家が手狭になったなどが原因とも言え、親子どちらかから希望が出て「同居」となっているのです。さらに親の高齢化に伴って突然の体調の変化や怪我などに対し気弱になり、子の方も心配になり、慌ててできるだけ近くに住もうなどと考えるのです。しかし離れて住むならかえって中途半端に近くに住まない方が無駄な気を使い過ぎなくてよいとも言いました。都合が良さそうな二世帯住宅なども同じです。
確かにどの親も年金の目減りや医療費の負担増、さらにはそのまた親の介護、すなわち老々介護などの問題も差し迫ってもいるのです。本音では同居の願望があっても、一方で今までの勝手気ままな暮らしに同居に不安も抱いているのです。
親子が今までに同居の経験があるか、あるいは今までも親子の交流が多く仲良しの場合を除いては安易に同居や二世帯住宅などにしない方が良さそうです。まして親の方から誘わない方がいいのです。そこで改めて前回のあの親子夫婦“YES”or“NO”のゲームを見てみましょう。(ゲームはこちら)
結果が上からべったり同居。ややべったり。そしてべったり一体だがやや離れて外から子 (親) のゾーンに直接入れる。のゲームで一致する上の方の3つの同居形態(断面例)が見えて来ます。もちろん親子夫婦の4人のどなたかがNGならさらに下の分離同居になります。

<イラスト1:べったり同居のパターンの断面でキッチンと寝室の位置(画:天野彰)>
するとこの断面パターンの図からいずれも同居にはキッチン(図1:K)と親・子・孫の寝場所の位置が重要であることが分かります。キッチンすなわち台所を中心に親と子、孫の寝室を干渉しないようにできるだけ遠くに距離を置けば、わざわざ別の家・すなわち「二世帯住宅」などにする必要はないことが分かって来るのです。
まさしく同居の成否は、なんと!キッチンの位置と寝るところで決まるようです。もともと住まいの肝・心・要は台所と寝室とリビングです。まさしくわが家の“勝手”と“寝床”と“居間”で、落語の「じゅげむ」の「食う・寝るところ住むところ・・・」なのです。
“勝手”の台所(キッチン)は主婦の象徴とも言えるところです。そのキッチンの役割を親子2人の主婦が守ることになり“2人の主婦が居る”と言うことが同居の難しいところです。そのバランスこそが大切なのです。なぜなら、ひとつの住まいの中で主導権をどちらが持つかと言う「嫁姑の競い合い」となるからです。しかも昔と違って、ニコニコと笑いながらの“静かな戦い”ともなるからです。このことは嫁姑に限らず、仲の良い母娘であっても問題となることで、企業で言えば “社長の椅子”とも言えるのです。これを母親から取り上げてしまってもいけません。母親のキッチンは言わば“社長の椅子”を譲った“会長の椅子”?と言ったところです。そこで、狭い同居住宅の中での2つのキッチンをどうつくるかです。

<イラスト2:狭くても嫁姑二つのキッチン(画:天野彰)>
どうしても狭くて2つ取れなければ、イラスト2のように1つの台所の中に嫁姑2つのキッチンセットを設けることも可能です。まさに“会長の椅子”である母のキッチンがいずれ使われなくなっても“象徴的なもの”として孫たちも使える意味もあるのです。母親の大切な食器も保管され、気が向いた時に手料理もでき、深夜に薬も飲めるなど母のキッチンは心の寄り処であり、心の安らぎでもあるのです。

<狭くても二つのキッチンA様邸(設計:アトリエ4A)>
こうして「べったり」とは住むものの、双方の寝る場所の寝室は極力遠くに離して、キッチンは2つ、そしてトイレも当然2つ、さらにバスも2つが理想です。
やはり同居するなら息子夫婦すなわち“嫁”とは最初から思い切って「べったりの同居」が良く“中途半端に”二世帯住宅や近くに住まない方が気を使い過ぎなくてよいのです。
次回は、さらにべったり同居住宅には秘策がある?のお話しです。
************************************************
★隔週最新コラム公開中! 次回お楽しみにに♪
************************************************
【最新テーマ】
若い人に告ぐ (2)「老楽しく住む家」の暮らしとは?
「老楽しく住む家」 わが家の危険?!
世相変化の家(3)「最期まで活きる」
世相変化の家(2)「在宅避難」セルフ・ディフェンス・ハウス
世相変化の家(1)ウイズ・コロナ?まずは簡単耐震補強
【BACK NUMBERを見る!】⇒
★天野彰のホームページを見る!