amanoakira お役立ちコラム
「天野彰の快適住まい」

健康住宅(2-2) 住まいも医療施設も同じと考える

○今回のポイント 2 近代的なデザイナーズマンションなどより、アットホームな優しさが必要


療養の空間も住環境づくりの心で!

わが国の「医」と「療」すなわち医療施設の建物づくりは安全はもとより、清潔安心が重要です。「医」はまさしく医学的診断と処置であり、「療」は治療、療養のための看護介護となっています。その設計コンセプトは、診断・処置はまさに作業場で医科学的な分析や調剤であり、手術室に至ってはまさに手術“場”で無菌の調理場のようであり合理的かつ機能的な設計となります。しかし肝心の療養の部屋である病室はベッドが整然と並び、そこに横たわる患者はパイプや配線で結束された“部品”のように置かれているようなのです。

このことは老人施設においても同じで、ベッドをあまり感じさせない療養空間はあまり見たことがありません。

さらにこの「医」と「療」の両者を結ぶ“作業者”側の動線や管理部門はまさに機能優先のバックヤードで、整然とつながり、患者との接点である診察室は机と診療代が置かれた殺風景なものが多く取調室的感覚となりやすいのです。そして病棟(この名のとおり「病」と言う名の棟)のナースセンターは現場事務所であり、そこは患者のデータが集中し、作業日報などを記録する作業場や資料置き場となり、肝心の患者とは各病室(これも「病」と言う名の部屋)とはナースコールと言うリモートで接続されているのです。

これが病院建築の設計コンセプトで、療養型病院や老人施設などその名が異なるだけで病院・病棟・病室なのです。療養の居住の本質を考慮したデザインではなく“病”を覆い隠すデザインともとれるのです。最近のモダンな医療施設はガラスやステンレスなどが多用され、患者や老人のデリケートな心理や居住環境についての考慮があまりなされているようには思えないのです。

設計者が患者の意見を直接聞くこともなく、医師や看護師あるいは管理者の意見ばかり聞くためにどうしてもこうなるのです。このことは自分自身が病にかかってそこに寝泊まりをするとよく分かります。その患者の目で見ると感じ方の違いに驚きます。凝ってデザインされた色彩も吐きそうで、ガラスやステンレスは見るだけで寒気が起こるのです。トイレの寒さに身震いしたりクロスやペンキの臭いにむせたり、ナースコールの大きな声にびっくりし、蛍光灯の眩しい明かりに憂うつになるのです。


居住を優先すると風通しと通気が見えて来る。

住まいをイメージした療養施設(石岡ゆうゆう 設計アトリエ4A)
<住まいをイメージした療養施設(石岡ゆうゆう 設計アトリエ4A)>

新しい病院ほど、見かけはホールや待合室はまるでホテルのロビーのようになっていますが、そこにはアットホームな優しさがないのです。さらなる医療費削減の中で、医療の施設はまさに防災上も耐久性も、さらに芯までの素材も合成素材でぎりぎりの営利が目的のローコストなデザイナーズマンションやビジネスホテルのようになっているようです。そんな中で患者はおろか長時間働く医療従事者の健康さえ危ぶまれるのです。

 新しい病院ほど近代的なデザイナーズマンションやビジネスホテルのようになっていますがそこにはアットホームな優しさがないのです。実はこの発想こそ住まいの設計にするのです。まさに病院の設計するためには一度病気をすると良い?ようなのですが、そうはできません。実はこれこそその想像をし仮想することです。実はこの想像力こそ家づくりにも発揮するのです。

 次回はその想像と仮想手法の住まいづくりを考えてみたいと思います。

 

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緊急事態宣言発令後も感染者数収まらない中、
果敢に闘っていらっしゃる医療従事者の皆様方に
さらに敬意と感謝を申し上げます。(天野彰)

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