まさにソーシャル・ディスタンス?などと言う名の通り、人々は接触を遠ざけてテレワークやリモートなどコンピューターが介在するオンラインネットワークによるコミュニティーとなって行くようです。
実際に人間関係にその影響は出ていて、個々の信頼や誤解さらには家族や友人との間にもそのひずみが生じ、職場はおろか医療や介護、さらには教育の現場でもその格差が広がり、知らず知らずのうちに人々を遠ざけ、遠ざけられていてばらばらとなっているようです。あらゆるイベントは無観客となっていて、静寂の中の試合や演技には熱が入らず、視聴者もバーチャルな映像では物足りず、少しずつでもと入場はさせたものの今度は声援も歓声もあげられないと言う大きなストレスを生み出してもいるのです。
まさに演者も観客もさらには先生も生徒も患者や医師、看護師もその時間帯だけはまるで全員で“演技”をしているかのように振る舞い、その場から離れて初めて解放される?と言ったとんでもない現実社会ともなっているのです。
<京都中庭に面した涼し気な寝室(天野彰)>
京町屋の効果的な自然換気でウイルスを外へ吐き出す
こうしてこの疫病は病とは別に人々の心に精神的に大きなダメージを与え続けてもいるのです。問題はこれらのストレスをどのように無くすか、あるいは少しでも和らげることができるかですが・・・、やはり前々回からのお話しのように人々は実際に会って集まり、心を開き話し合える場が必須に尽きるのです。
かつて京都の町家で休んでいたとき、家の外は京都特有の無風で暑い日中であったにもかかわらずなぜか風を感じたのです。それも焚かれた蚊取り線香の煙が中庭に向かって流れているのです?その蚊取り線香をもって他の部屋に行ってみると・・・、皆中庭に向かって流れているのです。後にいろいろと調べてみると、暑い日差しによって瓦屋根が熱せられてそこに上昇気流が発生しその気流が中庭の空気を引っ張り上げ、そのため各室内の空気が中庭に向かって流れていたのです!
<イラスト1:京都の町家は巨大な換気扇?その仕組みは? 模型:町家の断面模型(画:天野彰)>
なんと千年の昔から暑い京都の住民は“効果的な自然換気”を知っていた?のです。左右を壁で仕切られた京の町家は「巨大な換気扇」(イラスト1)だったのです。
以来私はこの中庭プランニングをいろいろな都市住宅で試しているのです。まさに大きなイベント会場もこの原理を利用して全体を巨大な換気扇にしてウイルスの混じった?空気を空高く噴き出すのです。天井に穴が空けられないときはあの巨大な囲炉裏の換気フード(前々回コラム)のようにダクトで空気を強制的に吸い上げ排気するのです。
<イラスト2:換気中庭のある都市型防災住宅(画:天野彰)>
こうしてプランニングごとに線香の煙で流れを見るのです。まさに空間に居て、自分自身があの線香の煙のようになって風の流れを読み解くのです。その煙こそがあのウイルスの混じった空気だと見立てるのです。
次回は否接触介護セルフサポート“ホームナーシングユニット”
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★天野彰先生の最新情報!
2020年7月24日(金)午後11:00 オンエアー(再放送予定)
NHK Eテレ「あしたも晴れ!人生レシピ」に出演予定!
※“自分スペースづくり”を賀来千香子さん方と考えます。
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