バスタイム(お湯)の“湯々”自適でよい年に!
2017年もまたまたよろしくお願います。
さて新年早速お風呂からのご挨拶、失礼をします。

写真:好んでよく泊まる別府駅前のホテルの屋上温泉(写真:天野彰))
― 住まいについて、何やかやと言いましても、やはりお風呂が一番だと思います。もっと言えばお風呂さえ一番好きな空間にすれば家の大きさとか、他のしつらえなどはまさに二の次だとさえ思うのです。 ―
○今回のポイント 1 お風呂を中心に考える楽しい家づくり
○今回のポイント 2 ゆっくり、湯ったり「湯々自適」で家族団らんも快適に
○今回のポイント 3 予算や広さよりも快適な生活をイメージすることが家づくりのポイント
長年家づくりに携わり、また自身もお風呂での子どもたちとの団らんや、気分のすぐれないときや悲しみに暮れる時もこのお風呂でリフレッシュさえすればまた明日は元気に“活きて”行ける!とさえ思えるのです。
もちろん住まいでさらに大切なものを家族がそれぞれに考え、持ち寄れば家づくりやプランの展開などそうそうに決まるものです。
これを敷地に対して建築面積がどうだとか、予算がどうだとか、構造がどうだとか、専門家に任せれば済むものをあれこれ考えているとなかなか自分たちに、いや自分に良いプランなど決まらないものです。
つまり、まず“風呂”はどこらあたりで、どのぐらいの広さをと考えると、不思議に住まいの中心が見えて来て必要なものが見えて来るものです。同時に家族の希望や行動パターン、さらには“行く末”の動向さえも見えて来るものです。
これと同じように奥さんは家事台所を中心に考えているはずです。もちろん男性も料理好きならキッチンをアトリエのように考えてプラン展開をすればいいのです。こうして浴室との両者がつながり合える“交点”が間取りの中心となりプランの基本グリッド(基準線)が決まるのです。あとはそのグリッドに沿って寝室や個室さらに玄関など、そのパターン展開と、敷地や予算に合わせた家のトータルで形を考えるのです。
このように“邪念を捨てて”一途に理想の「お風呂」を考えるのです。すると意外なことに、実生活ではリビングだとか、書斎?などは只のあれば良い付属品?で、家族の団らんとか趣味の世界など幻想に近いものであることが分かるのです。
このお風呂、住まいに限らず人が旅に出て一番に考えるのも道理で、温泉があればなお良いのですが、旅館もホテルもまずはバスが一番なのです。私などは海外旅行に行って苦痛で早く帰りたくなるのはこのお風呂で浅いシャワーパンにさえお湯をためて“行水”をするのです。
実際に高齢化して夫婦だけともなると大きなキッチンもリビングも用はなくなり、心身ともにリラックスできるこのバスライフが一番、と相成るのです。
まずは桧(ひのき)の薫り高いお風呂も良い。 ジャクジーバスも良い。さらには庭に面したバスも良い。
写真 桧のお風呂 -千葉県NO様邸(写真:天野彰) 写真 中庭に面した開放的な浴室 -下呂NA様邸(写真:天野彰)
マンションなどは配管をきり回してベランダ側に湯船をつくり夜景を見ながらも愉しい。

写真:御影石ベランダのバストイレ -世田谷区I様邸(写真:天野彰)
そうです。こうしてゆっくり、湯ったり、悠悠自適から遊々、さらに“湯々自適”にするのです。
そのために今の生活に必要のないものはすべて削ぎ落とし、玄関ドアを開けると、そこは即、脱衣室の前室で、まさにあのサウナやスパのホールです。
そこに住まいのすべてのロッカーがあり、その次のドアはまさしく広い浴室。なんとその周りにキッチンがあり、小上がりがあり、そこがベッドで、這ってでも行けるトイレやシャワーもある・・・、こんな家をちょっと想像したらどうでしょう、いかにも楽しい家づくりとなるでしょう?!
まさしくこれからの住まいは自身のための“棲まい”なのです。
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★天野彰先生の著書「建築家が考える【良い家相】の住まい」 講談社発行

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