人生百歳元気で快適に住む(2)「何が必要か工夫?」
―800年も前に方丈記は今の日本の生活文化を描いていた?―
○今回のポイント 1 核家族化が親と子を引き離し、空き家を生む
○今回のポイント 2 家族をひとつにする家づくりが老後を生き抜く秘訣
○今回のポイント 3 協力体制を生む同居が本来の「家族の形」
これから想像を絶するほどの長い老後をいったいどう過ごすのか?しかも延べに平均寿命がこれほど長くなり、しかも出生率のますますの減少・・・。確かに金融庁の試算する生活費の不足はその原資?動向から見ても年金の危機であり、今後増え続ける長寿高齢者の生活を順当に賄えるはずもないことは衆知の事実なのです。しかしこの場に至ってもそのことをひたすら隠し通す政権維持の為の政治であることを国民の大人はどなたも感じていることであり、改めてその対処の遅さに驚くばかりです。
さらに朽ち続けるあらゆる老朽インフラの膨大な更新の試算さえ公表せず、火急に迫る巨大地震のための引き当てもせず、貴重な財源をこの時代に効力も不明な巨額な装備や聴こえの良い開発やイベントなどに費やしていることを、日常の生活のための必死で頑張る家々の設計のお手伝いしていて痛感することなのです。
しかも緊迫する巨大地震の不安と、老後の不安はますます募り、国民の不安を煽るだけではなく、今日までの政権と行政の失策を認め、政府は事態を伏せるのではなく改善策のアイデアを次々と出して根底から対処すべきなのです。
その顕著な例が「空き家」です。都心や地方都市までどんどん増え続ける「空家問題」その家族も政府も「ないことにしよう」などと言ってはおられないのです。その間にも“廃墟”を取り囲むようにまるで新興国に建つ超高層住宅群や競技場など、美観どころか、大人の国の発想とは思えない滑稽な景観の都市の姿となっているのです。私たちが今日まで形成してきた家族、さらにその家、そして都市の形状は規律を持って穏やかで豊かな景観を醸し出してきたものです。それが突然、再開発とかリニュアルなどと、各家庭の親から子世帯を引きはがして、核家族と言う社会に変貌したのです。
そのことがどれほど各家々に影響し、さらに都市と地方との格差を生み過疎化を引き起こし、全国に膨大な「空家」を輩出した要因なのです。せっかくの財産、資産である親の「家」は放置され、そこに老いた夫婦か、老人が一人ぽつんと住む「空家」予備軍の家ばかりとなっているのです。
一方子世帯は、儲け一辺倒のミニ開発や賃貸アパートやマンションなど建築基準法ギリギリの粗末な家に高額な家賃を支払い家族や家計をぎゅうぎゅうに押し込めているのです。これが先進国であるはずの国民の居住において行政の大失策なのです。まさに家や資産は個人の問題であり、その放置の指導も罰則も未だにないのです。
工夫ひとつで狭楽しい家も、親子で暮らす家も実現できる
半世紀以上に渡り、わが家を賃借したり、中古マンションを購入したり、建築家として自らの家を建てて住んできた中で、常にひしひしと感じて来たのがこうした発想のない行政への失望でした。
なけなしの資金でリフォームして来たり、自ら工夫、いや“苦夫”をしてきたのです。おかげで多くの家をこうして少しでも楽に過ごせるようなお手伝いをして来て、おかげ様で?狭苦しいのではなく「狭“楽”しく住む法」なる苦し紛れの拙著を発行できたのです。そのおかげで初めて、「苦夫」から「楽夫」になれたのでしょう?
こうして行政に頼れない中、これから生き抜くためには何よりもその原資が大切です。しかし難しそうなこの問題も改めて今の家族やその周りを見直してみると答えが見えて来るものです。その原資である家を核家族となった皆を何とかもとの一つに引き戻そうと考えるのです。何を今さら!とお思いでしょうが、この先長く生きて行くためにはこれが残された最後の手段なのです。今の家の一階だけに縮めて最小限にして、そこに子夫婦を住ませようとしたリ、思い切って半分壊して減築し、そこに子どもたちの家を建てさせるのです。
<最初の減築賃貸同居住宅例 M様邸(画・設計:天野彰)>
実はこれは理想の話です。が実際にはこれを賃貸の貸家にしたり、半分を若い夫婦に貸す為の事業計画とするのです。これは一世一代の大決心です。老いて改めて先のわが20年30年先を見直すのです。この“事業計画”を持って金融機関や不動産屋さんにたずねるのです。もちろんこれは土地建物担保の融資となり、子どもたちに黙ってする訳にも行きません。場合によっては保証人になってもらわなければなりません。その過程で「俺たちが住む」と言い出すかも知れないのです。
そうなれば子どもたちの高額な家賃は少額となり、親の生活の足しにもなるのです。その結果、孫たちの見守り、さらに親のサポートや介護の手助けともなり互いが安心となるのです。
これこそがわが国の本来の “家族の形”なのです。しかも遠くに住む両親も一緒に呼んで住めばさらに安心で、子ども夫婦はしっかり共働きで稼げばよいのです。孫は祖父母や相々父母“三代の見守り”や教育が受けられるのです。
しかし、これは従来の同居住宅や二世帯住宅ではないのです。まさに他人の若い世帯にも安く“貸して同居”するのです。これこそが賃貸「契約同居」の発想なのです。さあ、子どもたちがどう出るか? どちらになっても、わが老夫婦の為に、奮起もう一度「“苦”夫」をするのです。
次回は「契約同居住宅」のつくり方、仕方です。
<他の家族と住む“大家族”のS様邸(画・設計:天野彰)>
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